きらきら武士と恋をした話

今日は暖かい。

 

もう春が刻々と近付いているのを感じる。

私は春になるとどうしようもなく、ハッピーになる。

あっぱらっぱーなのだ。

 

すごく個人的に、春は恋の季節だ。

ムネのトキメク思い出はほとんどが春。

春の陽気を感じると、思い出す曲がある。

「知らねーよ」と叫びたくなる気持ちもわかるが、ぜひ聞いてほしい。

 

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 レキシ/きらきら武士 feat.Deyonna

 

まずタイトルがおかしい。

でも、そこがいいのだ。

このタイトルのおかげで私は恋人ができた。

 

お相手は一つ年下。

大学のサークルの新入生歓迎会で知り合った。

率直にいえば、タイプだった。

黒髪、メガネ。服はダサいけど。

 

そのころ私には恋人がいた。

今考えても100%、私は最低だった。

恋人がいたのに関わらず、好きになってしまったのだ。

あ、やめて、怒らないで。

なにもこの恋を美化しようなんて思ってないんです。ただ単純に、昔あったことを書き残したいだけなんです。想い出として。もう二度と無い話として。だからその石を投げる手を止めて聞いてください。お願い。

 

そんなお相手をEとする。

私は一目でEを気に入った。と言っても、まだ「好き」とまではいっていない。

少し、興味があったのだ。

Eはよく笑う。笑い声が変だった。なんか甲高くて。

でもその笑い声が聞こえるたび、少し意識していた。

飲み会でも隣に座った。やっぱり変な笑い声で、でも話は面白かった。

すぐに連絡先を交換した。まぁ、新入生歓迎会なので、連絡先交換は先輩の義務だったのだが。

ラインで、他愛もない会話をした。

もう返事が来るだけでなんか嬉しい。

そのころ授業では陶磁を専攻していたので、毎日粘土をこねながら、iPhoneが鳴るたびに汚れた手ですぐ返信していた。

 

個人的に飲むようになるまで、そんなに時間はかからなかった。

 

私は深夜バイトをしていた。その最中も、Eとラインをしていた。

Eから、「今友達の家で飲んでるんですけど、バイト終わったら来ませんか?」ときた。

断る理由がない…!

早々にバイトを切り上げ、バイト友達を連れ、Eの元へ向かった。

あまり覚えていないが、先輩風を吹かせる為にコンビニで酒とお菓子を大量に買い込んだ気がする。

そして数日ぶりにEに会った。やはり服はダサかったが。

酒を開け、菓子を食い。はぁ〜〜〜今考えるといいですね大学生って。

そのとき、誰が言ったのかわからないが、なにかBGMを流すことになった。

私はしばらく前からハマっていたこの曲を推薦した。

まずタイトルを発表。ブーイングの嵐である。Eが一番けちょんけちょんに言っていた。

曲を流すと、次は歌詞に爆笑。

「武士って!!!」「どんなセンスですか!!」

笑われているのにも関わらず、その笑い声が聞けて少し嬉しかった。

 

その日の飲み会が終わってから数日経ったとき、Eからラインがきた。

「あの変な武士の曲、なんか頭から離れないんですけど笑」

武士効果、ここに極まれり。

あそこで無難な曲を流さなくてよかった…!

「じゃ、また武士の曲でも聞きながら、飲みにでも来ない?」

そんなこんなで飲み会を重ね、紆余曲折あり、私はEと付き合った。

 

ま、付き合ってみればEは結構なわがままで、ほとほと手を焼いたのち、一年経たずに別れてしまった。というかフラれた。

別れる間際は扱いもぞんざいで、大雪の日に一人で牛丼を買いに行かされた話とか、今では笑いのネタになるからいいのだが。

フラれた理由は「他に好きな人ができたから」。

諦めきれなかった私は散々Eを口説き、挙げ句の果てに「大学卒業するときまで好きでい続けたら、もう一度チャンスをくれないか」と頼み込んだ。

そのチャンスがくることはなかった。

でも、今でも街中でこの曲を聞くと、あのEの甲高い笑い声を思い出す。